ビジネス情報掲載記事(令和8年6月1日号)-お知らせ
備後の経済情報誌「ビジネス情報 令和8年6月1日号」に載りました。

(本文)
「龍の成長物語・第三段階」
世にいうリーダーは幼い時からそうであったわけではありません。
ライオンの子供は将来ライオンになりますが、生まれながらに狩りの能力を持っているわけではありません。ですから、いかに百獣の王といえども、狩りの練習なくして上達することはありません。
これは、いくら経営者のご子息であっても「経営の教育・訓練」なくして立派な経営者にはなれない、ということです。
「俺は生まれが違う、毛並みが違う」と思われている方はいませんか?
今回は、龍の成長の第三段階、いわゆるリーダーの成長の第三段階についてお話しします。
この段階は、一言で言えば、「訓練の時代」です。
第一段階は「潜龍」で、確乎不抜の志を持つ段階です。
第二段階は「見龍」で、立派な師匠を求めて、その姿をまねる段階です。
つまり、師匠の「型」を寸分違わずまねる時代です。守破離でいう「守」の段階です。
「あれはおかしい」「これもおかしい」と意見する時ではありません。そっくりそのままをまねる時なのです。
では、第三段階の訓練とはどのようなものなのでしょうか。
型をマスターしたら、次は相手と手合わせをする時です。
手合わせをすると、せっかく覚えた「型」が崩れる事があります。
その場合には、基本に戻って再度「型」を練習します。
これを繰り返し、繰り返し行うのです。
易経に「君子終日乾乾、夕べに惕若たり」(くんし しゅうじつ けんけん、ゆうべに てきじゃくたり)とあります。
龍の成長第三段階では、朝から晩までやり過ぎるくらいでなければなりません。そして夜には、その日を顧みて、「本当にあれで良かったのか」と、恐れ震えるかのごとく反省を繰り返すのです。
「惕(てき)」という字には「恐れ悩む」という意味があります。
「乾」は六白金星で、完璧を求める星であり、やり過ぎてしまう特徴を持っています。その「乾」がダブルでありますので、「やり過ぎるぐらいやれ」と解釈できます。
そして、その日一日を、恐れ悩むほどに反省するのです。
こうして、繰り返し、繰り返し稽古を行います。そのあかつきには、「質」の向上が生まれます。
何事も「量」をこなすことで、「質」へと転換していくのです。
しかし、基本を繰り返し練習することは、誰にとっても嫌になるものです。
退屈この上ないもののように思えます。
それでも、リーダーの役割をまっとうするには必要です。
天才経営コンサルタントのピーター・ドラッカーはリーダーの条件を次のように示しています。
「リーダーに必要なものは、才能ではなく、真摯さである」
真摯さとは、誠実さです。
「潜龍」のときに持った「志」を達成しようとする意志によって生まれるものです。
しかし、いくら師匠のまねをするといっても、「型」だけをまねして、その本質に至らず「今だけ、金だけ、自分だけ」となってしまっては、真摯さに欠けますね。

