ビジネス情報掲載記事(令和8年3月1日号)-お知らせ
備後の経済情報誌「ビジネス情報 令和8年3月1日号」に載りました。

(本文)
「認知理論の落とし穴」
人生の中で物事を正しく認識する力があれば、これは素晴らしい事です。
しかし、絶対に正しいと思っていればいるほど、案外勘違いをしていることも多いです。
アインシュタインは、もっともらしい常識ほど根拠のないものが多いと指摘しています。
一般的に人間は、常識を根拠として物事の判断を行います。もっと本質的な話をしますと、人は事実を自分が見たい現実に合わせてしまいます。
そこから生じる人生の悲劇・喜劇は枚挙にいとまがありません。それぐらい人は、客観的に物事を見る力が弱いと言えます。
現実を正しく見る力とは、物事を自分の見たいように見るのではなく、その本質を見通す力だと言えます。それを意味する言葉として仏教には「六根清浄」があります。
六根とは、人が物事を認識するため情報を取り入れるための器官のことです。人間の眼・耳・鼻・舌・身・意を指します。これらの器官によって、さまざまな現象を認識します。
人が不幸になる大半の原因は、物事の捉え方の間違いによるものです。
欧米でも、これらの研究が行われています。それは「認知心理学」というものです。
例えば、NLP(神経言語プログラミング)という技術があります。これは、正しく使えばとても役に立つものです。
しかし、これらの技術は使い方次第で簡単に人をだますことができます。
その一つに「ラポール」があります。相手と早く「信頼関係」を作るための手法です。また相手との信頼関係を深める技法として「ミラーリング」があります。
そのほか自分の正当性を貫き、不利な議論をすり抜けるための手法として「リフレーミング」があります。
例えば、違法な経営をやっている人は次のように言います。「それを決めたのはしょせん人間でしょう?」「お金は汚く稼いで、キレイに使う」などです。
お金を稼ぐ方法は山ほどありますが、あなたは意図的に人を勘違いさせて、人を泣かせるビジネスをやりますか?
コンサルもしかり。計算通りにやれば幸せになれる、この方法を使えば解決する、このやり方をすれば成果が上がる、人事評価を入れれば全て解決する・・・。
それらは些末なことで、戦術的な意味合いのものになります。戦略の効果は、戦術の6倍以上です。戦術ばかり追い求めると、効果は少なく組織は疲弊してしまいます。
では、本当の戦略とは何であるか?簡単なようですが一番難しいことです。それは「自分自身」が変わる事です。
ソクラテスは「無知の知」があることを今に伝えています。。
つまり、形を変えればすべてが叶う、何でも真似すれば解決すると叫ぶのは、自分が「無知」であることを認めているようなものなのです。
中心が変わるから環境が変化し、環境が変化するから実行力がつき、実行するから結果が出るのです。
枝葉である戦術だけでは、破綻が来るのです。
易経64卦の中に、「山水蒙」という言葉があります。
霧がかかった山々に川が流れています。ボヤッとしていますが、ハッキリ見えるのは山と川だけです。目に見えるものだけを判断材料として生きていくことを言います。それでは、よい人生は歩めません。最後は、占い師の言いなりになる人生となります。
それが、一番の不幸なことでしょう。

