ビジネス情報掲載記事（令和7年1月1日号）2025.01.06-お知らせ

備後の経済情報誌「ビジネス情報　令和7年1月1日号」に載りました。

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（本文）
会社運営において、投資をすることは非常に大切です。
人間の能力には極めて大きな限界点があります。
それは会社が成長するときの制約条件となります。
残念ながら、これは真実です。
この制約条件を解除していくことが会社の成長に繋がります。
自社に無いものの充足、もっと言えば社長の精神的な成長が会社を飛躍させます。
昨日の世界から明日の世界へ、イノベーションを起こすのです。
そのときに投資が大きな効果を上げます。
そこで投資の見極めがとても大切になります。
結論から言えば、正しい現状認識ができるかどうかにかかっています。
しかし世の中は、“なんちゃって”ノウハウが満ちています。
中国は唐の時代、宗一大師・師備（しび）という方が活躍しました。雪峯山の真覚大師（しんがくだいし）のもとで修業していましたが、広く諸国の禅師を訪ねて修行を完成させようと思い立ちます。
山を下り道に出た途端、石につまずいて足の親指にけがをしてしまいます。
「痛たたぁ」と血が出た足の親指を押さえ、ハタと考えます。
「この身体は借り物なのにどうしてこんなに痛いのか」と。
「あっ」とそこで気が付き、もといた山に帰りました。
師の真覚は問います。
「どうした、もう帰ってきたのか」師備は答えます。
「もう人には騙されません」
これを聞いて、真覚は師備を大いに褒めたという事です。
私は、最初にこれを読んだ時頭の中が「？マーク」でいっぱいでした。
正直なところ、何が言いたいのか分かりませんでした。
私の解釈では、「聞いて理解すること」と「自覚して分かること」は違うという事です。
私たちは人の話をたくさん聞いて、世の中の事を理解したつもりでいます。テレビの中で展開する話を聞いて、本質が分かったようになっていると感じます。
それが、恐ろしいのです。
その場しのぎの情報で真実をつかんだ気になるからです。
正しい情報からスタートして、原理原則を熟知した上で解釈をして初めて正しい仮説・課題となります。
つまり、師備は人から学ぶことを卒業して、人からの情報を正しく認識できるよう自分を高めることが重要と考えたのです。
これが師備の天才的な所です。そのために山に帰ったのです。
最近は情報があふれています。そして「権威がある」「有名だから」など、周辺情報のみで判断することが多くなっています。
そして営業の方法もそれらを利用して相手の急所を突いたり、人間関係だけでビジネスをする人が多くなりました。
中小企業は、正しい投資によって成長します。
しかし、問題の奥には全く違う原因があることが多いのです。
例えば人手不足で困っているのは、人が来ないのが原因ではなく、人が逃げていく組織体制であることが問題になります。人を集めるノウハウがあっても、すぐに辞めていきます。人集めが上手でも、人離れが激しいのでは人手不足は解決しません。ひょっとして、人集めが上手な会社ほど社員の出入りが激しいのかもしれませんね。