ビジネス情報掲載記事(令和6年11月1日号)-お知らせ
備後の経済情報誌「ビジネス情報 令和6年11月1日号」に載りました。
(本文)
会計の世界には、とても便利なツールがあります。あといくら売上を上げれば利益が上がるか、シミュレーションする算式があるのです。
管理会計の一部に「変動損益計算書」というものがあります。
私が会計の世界に入った40年前からあります。その頃からTKCシステムの最先端ツールとして活用していました。
例えば、ある会社で年間の赤字が1000万円あるとします。
さて、あなたはどんな手を打てばよいと考えますか?
正解はまず、その会社の現状認識を正しく把握するところから始めることです。
会社の置かれた状況は千差万別です。現状を認識せずに、思い込みでいきなり手を打つことは、かえって状況を悪くしてしまいます。
「打つ手は無限」と書かれた月次決算書分析システムがあります。これは、東京に本社を置く古田土税理士法人がITベンダーと提携して作ったソフトです。
多くの会計事務所が購入して、活用しているようです。膨大な数の分析帳票が出せるようになっています。
しかし、赤字1000万円の本当の原因は、会計ではつかみきれません(仮説は立ちます)。
本当の原因は、経営の原理原則の中にあります。
「成果を出すための戦略×実行力」の原理原則です。
ある会社は赤字を埋めるために、新たな事業を付加しようと考えます。一方別の会社は、広告宣伝をすればよいと考えます。
そのほかサイドビジネスをやろうとする会社、値上げをしようとする会社、他社の売り場に乗り込み知り合いの顧客を強引に自分の売り場に連行する会社、値札をごまかして上代を高くし、半分値引きしたように見せかける会社もあります。ライバル会社が倒産するとデマを流し、自分の方が早く倒産してしまった会社すらありました。
これは、うそのようですが、実際にあった話です。
これらはほんの一例ですが、長年経営コンサルタントをやっているとよく耳にします。
そうやっても赤字は埋まらないのです。
まず、インチキして赤字を埋めるのは人として言語道断です。それだけのインチキをやってもつぶれる時はつぶれてしまうのです。
さて、赤字を補うという思考そのものが、下位の次元の思考になります。より上位次元の思考は戦略です。したがって、社長が思考するべきは戦略なのです。
本業の事業が市場の中でどのような状態にあるかを把握すべきなのです。
思いつきや感覚だけで実行してはいけません。
時間とお金と信頼を失ってしまいます。
思いつき、感覚を否定はしませんが、それが事実かどうかを検証するプロセスは大事にしてくださいね。
ここで、大事なことを言います。
赤字になったら、視座を高くして自社の事業を見直してください。見えてくるものが必ずあります。